ストリートと伝統の邂逅:VERDYが語る、メルセデス・ベンツとの妥協なきコラボレーションの舞台裏

ストリートとラグジュアリーの交差点: VERDYが語る、メルセデス・ベンツとの妥協なきコラボレーション
September 11 2026

日本を代表するグラフィックアーティスト、VERDY。原宿のストリートカルチャーを継承・牽引し、今や世界から熱い視線を浴びる彼が、次なるコラボレーションのパートナーとして手を組んだのは、自動車生誕から140年のマイルストーンを迎えたメルセデス・ベンツだった。東京・表参道の「Mercedes-Benz STUDIO TOKYO」を起点に展開される、ストリートと伝統的ラグジュアリーブランドによるアートプロジェクト──。その名は「VERDY meets Mercedes-Benz STUDIO TOKYO」だ。互いへの深いリスペクトの果てに生まれたカプセルコレクションの全貌、そしてVERDYの胸中に秘められた「ブレないクリエイションの哲学」に迫る。

photos : Kunihisa Kobayashi
words : Go Kato

長年の憧れがコラボとして結実

「自分自身が、心からカッコいいと思えるブランドでなければコラボしない」──。

それは、アーティストとして世界各国のトップブランドから引く手あまたとなった現在でも、VERDY氏が絶対に曲げることのない信念だ。そしてひっきりなしに届くオファーのなかから、今回メルセデス・ベンツとのコラボレーションプロジェクト、「VERDY meets Mercedes-Benz STUDIO TOKYO」へと踏み出した背景には、自身のルーツと深く結びつく、特別な想いがあった。

「僕は、クルマに特別詳しいわけではないですが、子どもの頃から『カッコいいクルマといえばメルセデス』という明確なイメージがありました。そしてファッションが好きになってからは、(藤原)ヒロシさんやNIGOⓇさんといったストリートの先輩たちがメルセデスに乗っている姿を見て、『いつか自分も買えるようになれたらいいな』という憧れを抱いていたんです」
コラボが決まった瞬間、VERDY氏の脳裏には「これがやりたい!」という明確なビジョンが、すでに浮かんでいたという。その熱量と興奮が具現化されたのが、今回のプロジェクトだ。自身がデザインを手がけたオリジナルTシャツ、キーリングなどのグッズを含むカプセルコレクションがMercedes-Benz STUDIO TOKYOの店頭に並ぶ。加えて、9月12日〜27日の期間限定で、オリジナルキャラクター「VICK」とGクラスを組み合わせたアートワーク「VICK x G-Class」や、本プロジェクトの世界観を表現した特別なアートカーも展示。Mercedes-Benz STUDIO TOKYOという空間を通じて、ストリート由来の自由なクリエイティブと、伝統に彩られたラグジュアリーな世界観が呼応する、斬新なブランド体験を堪能できる。
長年の憧れがコラボとして結実

真のコラボレーションは「熱量」から生まれる

「直接会って話をしてから仕事をする」というポリシーを貫くVERDY氏。その理由は、コラボするパートナーとの「対話」、そして互いのカルチャーに対する「リスペクト」が、クリエイションにおいて最も重視する点であるからだという。
もちろん、メルセデス・ベンツとのプロジェクトにおいても、その姿勢は全くブレなかった。デザインをプロダクトへと落とし込み、人々の心を動かす体験へと昇華させる。それは一人の力では成し得ない。コラボするブランドからの惜しみない協力と、共通のゴールへと向かう「熱量」の共有が不可欠なのである。

「関わってくれたみなさんが、本当に一生懸命やってくれて、デザインやイベントのために全力で協力してくれました。そういう『熱量』がやっぱり重要なんですね。一緒にやっていくなかで、お互いにいい関係性を築けたからこそ、最終的に自分が心から納得できる素晴らしいものが出来上がったんだと思います」

日常を彩るカプセルコレクション

妥協なき対話を経て生み出されたカプセルコレクション。Tシャツ、キーホルダーなどが揃うが、その制作においてVERDY氏が貫いた基準は、驚くほどシンプルだ。

「自分自身が毎日着たいもの、欲しいものを作る」

例えば、2026年7月に大反響のもと会期終了を迎えた韓国の大規模個展でも「本当によく着ていた(笑)」と語る一着は、フロントはあえてシンプルに「Mercedes-Benz」の文字だけを配して、バックには今回のコラボレーションのために描き下ろしたGクラスのグラフィックを配置。「意外と世の中に存在しない、本当に自分が欲しかったもの」だと胸を張る。ファッションスタイルや年齢を問わず、日常のなか、いつでも袖を通したくなる魅力を放つ一枚に仕上がっている。
「実際、たくさんの人たちから『それどこで買えるの?』と連絡をもらったりしています。(その反響を見ただけでも)自分が届けたいと思っている幅広い層のみんなに、ちゃんと届くんじゃないかなと感じています。『Mercedes-Benz』って書かれているだけで、シンプルにすごくカッコいいですし、自分が本当に欲しいと思えるデザインだからこそ、自信を持ってお勧めできます」 

また、Mercedes-Benz STUDIO TOKYOのスタッフが着用しているTシャツも秀逸だ。
「『TOKYO』って地名が入っているのがいいなと。もし自分が東京に旅行者として来て、海外のラグジュアリーブランドでの買い物を楽しんでいる途中で、メルセデスのSTUDIOに足を運んだら、絶対にそこのスタッフが着ている、『TOKYO』の文字をあしらったTシャツが欲しくなる。なんかそういう気持ちにさせてくれるものがいいなと思ったんです」

ストリートの夢を乗せたラッピングカー

ファッションアイテムの展開にとどまらず、今回のコラボレーションにおけるもう一つのハイライトが、Gクラスには「VISTY」、新型CLAには「VICK」をあしらい、それぞれオリジナルで制作したカモフラージュ柄を纏ったラッピングカーの存在だ。

「(このような制作のアイデアが可能であること自体)ラグジュアリーブランドが、ストリートを一つの特別なカルチャーとしてリスペクトしてくれているのを感じます。自分たちのようにストリートで活動している人間も、頑張ればこういう素晴らしいことが起きるんだなと。昔、雑誌で目にしていた“ストリートの夢”を、自分が実現できるというのは本当に感慨深いです」

ストリートカルチャーがラグジュアリーとごく自然に交差し、有機的に協働する現代──。VERDY氏はこれを「先輩たちが道を拓いてくれた恩恵」と謙虚に受け止めつつ、140年の歴史で培われてきたメルセデス・ベンツの圧倒的な世界観を、ストリートならではのエッジの効いたアプローチで見事に融合してみせた。

「このプロジェクトを通じて、次の世代の日本人アーティストへバトンを繋いでいきたい」

そう語るVERDY氏の言葉からは、トップクリエイターとしての静かなる誇りと使命感が滲み出ていた。

「チャレンジ」を大いに楽しむ

アパレルやラッピングカーのデザインを形にしていくプロセスにおいて、世界的なラグジュアリーブランドとのコラボレーションには、当然ながらグローバル基準の厳格なレギュレーションが存在する。しかしVERDY氏は、それを「制約」と捉えることは一度もなかったという。むしろ、自身のクリエイティビティを刺激するポジティブな「チャレンジ」として、大いに楽しみ、着実に完成形へと制作を推し進めていった。
「できないと言われて諦めるのではなく、できる限り距離を縮めて、どこまでいけるか挑戦したいんです。オフィシャルなメルセデスのデータが自分のパソコン上にあって、それをいろいろデザインしながら『このコラボが、どういう形になったらカッコいいかな?』と試行錯誤する作業は、本当に楽しい時間でした。普段自分がデザインしているのと同じ環境にありながら、メルセデスとオフィシャルの仕事をしているという状況が不思議で(笑)。正直、ダメ元で作っているような大胆なアイデアもありましたから、『これが通ったらラッキー』なんて思いながら、ワクワクしてやっていましたね」
「チャレンジ」を大いに楽しむ

クリエイターを刺激し続けるメルセデス

メルセデス・ベンツというブランドが放つ魅力は、VERDY氏のみならず、現代のカルチャーを牽引する多くのトップクリエイターたちをも惹きつけていることは周知の事実だ。実際、先日メルセデス・ベンツのイベントでイタリア・ローマを訪れた際の感慨深いエピソードをVERDY氏が明かしてくれた。

「ローマでの発表会に招待していただいた時、ほかに誰が現地に来るのかは全く聞いていなかったんです。でも実際に行ってみたら、世界中で活躍しているクリエイターや仲の良い友人がみんなそこにいて(笑)。普段は日本やロンドンで個別に会うことはあっても、全員が一堂に会する機会なんてそうそうありません。みんなメルセデス・ベンツが大好きで、乗っているんですよね。あのローマでの体験は、本当に素晴らしいものでした」
各国のカルチャーシーンを牽引する面々が、一つのブランドのもとに集う──。その事実は、メルセデス・ベンツという存在がいかに時代を超えて、クリエイターたちの感性を刺激し続けているかを雄弁に物語っていると言えるだろう。

今回のコラボレーションは、真に魅力的なものであるからこそ、「できるだけ多くのファン、本当に欲しいと思ってくれる人たちの手元に届けたい」とVERDY氏は強く願う。その想いを形にするため、カプセルコレクションは、Mercedes-Benz STUDIO TOKYOという常設店舗での継続的な展開とする一方、第1弾、第2弾、第3弾とフェーズを分けてリリースしていく予定だという。季節の移り変わりに合わせてアイテムも変化していくこの展開は、多くのファンを楽しませてくれるはずだ。

妥協なきクリエイションと、互いのカルチャーへの深い敬意、そして「本当に欲しいもの」を追求する純粋な情熱──。VERDY氏とメルセデス・ベンツが生み出したこの新たなエネルギーは、表参道を起点に国内のみならず国境を越えて広がり、手にした人々の毎日をより豊かに、より鮮やかに彩っていくはずだ。

PROFILE

ヴェルディ / VERDY

1987年生まれ、大阪府出身。VK DESIGN WORKS所属のグラフィックアーティスト。独自のタイポグラフィやキャラクターデザインを軸に、東京のストリートカルチャーを代表する存在として国内外で注目を集めている。自身のプロジェクトである「Girls Don’t Cry」や「Wasted Youth」をはじめ、オリジナルキャラクター「Vick」「Visty」などでも知られる。これまでに、ファッション、スポーツ、音楽、アート、エンターテインメントを横断する幅広いコラボレーションを手掛けてきた。近年も活動の幅をさらに広げており、2026年4月から、韓国・ソウルのLOTTE Museum of Artにて、自身初となる美術館個展「VERDY: I Believe in Me」を開催。グラフィックやキャラクター、タイポグラフィを起点とした表現を、ドローイングや大型立体作品を含む美術館空間へと拡張している。

※ カプセルコレクション第1弾の販売はご好評につき終了いたしました。第2弾の詳細は下記ボタンよりご確認ください。
ヴェルディ / VERDY