環境にやさしいシティコミューターから快適なグランドツアラー、はたまたアクティビティにうってつけのタフなSUVまで、ガソリンと電気を使い分けることで両モードの良さを “いいところ取り”できる──。プラグインハイブリッドを搭載するGLC 350 e 4MATIC Sports Edition Starは、文字どおりいくつもの顔を持つモデルだ。このクルマがどれだけ多才なのかを、実際にドライブに連れ出して確かめてみた。

Photos: Maruo Kono
Words: Takeshi Sato

プラグインハイブリッドの利点を堪能

都市部で移動する時には、電気自動車として粛々と走る一方、遠出をする際にはプラグインハイブリッドを搭載したグランドツアラーに変身、エンジンとモーターの連携で省燃費を実現しながら、はるか彼方を目指すことができる──。

GLC 350 e 4MATIC Sports Edition Starをひと言で表現するなら異なるタスク全てを軽々とこなすマルチなオールラウンダーだろう。

プラグインハイブリッドとは、読んで字のごとく外部電源に“プラグイン”して充電することが可能だ。そしてバッテリーに蓄えた電気で、最大118kmを電気自動車として走ることができる(数値は国土交通省審査値)。バッテリーの電気が減少しても、エンジンとモーターを組み合わせるハイブリッド車として走るから、ストップして充電する必要はない。

「わが家には充電設備がないからこのクルマは……」と考える人もいるかも知れない。けれども、自宅に充電設備がなくても問題はない。ひとつに、上記のとおり充電しなくても優秀なハイブリッド車として機能する、という理由がある。

そしてもうひとつは、「2030年までに公共用充電インフラを15万基設置する」という目標を日本政府が立てており、事実、商業施設や高速道路のサービスエリアなどで急速充電器を目にする機会も増えてきた。ショッピングや食事を楽しんでいる間に充電しておけば、GLC 350 e 4MATIC Sports Edition Starはプラグインハイブリッド車としてのパフォーマンスをいかんなく発揮することができるのだ。

ではこのクルマがどのようなカーライフを提供してくれるのか。今回、都心でのショッピングから箱根の老舗旅館まで足を延ばすドライブ旅行で確かめてみた。

平日と週末で異なる顔をみせる

都心の一等地にありながら120台の駐車スペースを用意している代官山 蔦屋書店は、クルマ好きにはうれしい施設の一つだ。しかも急速充電器を2基設置しているから、このGLC 350 e 4MATIC Sports Edition Starで訪ねるにはうってつけの場所といえるだろう。


パーキングで充電設備にプラグイン、カフェでコーヒーを味わい、書店で新刊を手にとっていると、あっという間に充電が完了する。ここから100km以上は電気自動車として走ることができるから、買い物やスポーツジムへの往復、送り迎えといった典型的な平日の使い方なら充電の必要に心をヤキモキさせることもないだろう。

パーキングを出て静かで閑静な街並みを走ってみても、無音・無振動に近いEV走行がマッチしていることに気づく。また代官山界隈には幅員の狭い道もあるが、このクルマは苦にしない。

全長4725mmに全幅1920mmというサイズは日本の道路でも運転しやすい。というのも、後輪が向きを変えるリア・アクスルステアリングを装備するので、小回りが利くのだ。最小回転半径は一般的なコンパクトSUVと同等の値で、滑らかなEV走行とあわせて、決して道路が広くない都心部もスイスイと走ることができる。

いざ箱根・強羅へ向かう

都市生活との相性のよさを確認してから、高速道路を使って箱根を目指す。「ハーイ、メルセデス」と呼びかけると、MBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)が、音声操作で目的地を設定してくれる。オーディオや空調の設定も、話しかけることで完了するのが嬉しい。

高速道路を走っていて感心するのは、街中ではやさしい印象だったこのクルマが、スピードを上げるほどに頼れる存在になること。まず、2リッターの直列4気筒ターボエンジンと高出力モーターを組み合わせたパワートレインがパワフルだ。

モーターは、アクセルペダルを踏んだ瞬間の反応が鋭い。対してエンジンは、高速域での伸びやかな加速感が特徴。お互いの長所を組み合わせることで、爽快な加速フィールが実現している。エンジン車では味わえない、新しい運転の楽しさを堪能できる。

街中ではモーターによる静粛性の高いEV走行だったものが、高速道路に入るとガソリンエンジンが存在感を見せるようになる。

これは後に、箱根のワインディングロードでも明らかになるが、長い年月をかけて磨き込まれてきたガソリンエンジンの魅力と、新しいEV走行の両方を享受できる──。これこそが、このクルマの大きな特長なのである。

街中ではソフトな乗り心地だったのに、高速道路では路面に吸い付くような安定感が感じられる。これは、AIRMATICサスペンションという高度な足まわりの仕組みの賜物。通常の金属製のバネの代わりにエアスプリングを採用し、さらに電子制御で足まわりのセッティングを瞬時に最適化することで、極上の乗り心地と安定性を両立しているのだ。

4MATICという高度な4駆システムと、前述したリア・アクスルステアリングの組み合わせは、見えないレールの上を走っているかのような安心感をもたらすから、長距離、長時間のドライブでも疲れを感じない。

また「Sport」モードを選ぶと車高がさらに約15mm低くなり、今度はあたかもファイティングポーズをとったかのよう。このモードではハンドル操作に対して俊敏に反応するようになり、クルマとの一体感がさらに強くなる。

このクルマの足まわりは、快適なコンフォートシューズと軽快なランニングシューズを瞬時に履き替えるように、その場面に合わせてドライバーが望むセッティングを提供してくれるのだ。

執事のごときインテリジェントドライブ

東名高速から小田原厚木道路に入り、小田原から箱根新道を駆け上がる。都心から強羅花壇までの100km強、2時間弱のドライブは、このクルマのパフォーマンスを堪能しているとあっという間だ。

かつての皇族、閑院宮家の別邸があった場所に位置する強羅花壇のエントランスは、歴史を感じさせる。GLC 350 e 4MATIC Sports Edition Starのタフさとエレガンスを両立したたたずまいは、風格のあるエントランスの情景にフィットする。

強羅花壇のスタッフによれば、ゲストたちのこの宿での過ごし方は大きくふたつにわかれるという。ひとつは、館内の充実した施設を利用する、“お籠り”のスタイル。大浴場、リラクゼーショントリートメント、岩盤浴、それにプールやフィットネスジムなど、とても一泊では網羅できないほど種類も内容も豊富なのだ。一歩も外に出たくない、という気持ちも理解できる。

もうひとつは、芦ノ湖や周辺のミュージアムに足を伸ばし、箱根という土地を満喫するスタイル。館内で過ごすことにも惹かれるけれど、ここはGLC 350 e 4MATIC Sports Edition Starのドライビングを楽しみたい。

気持ちよくレスポンスするプラグインハイブリッドシステム、山道のカーブを心地よく旋回する足まわりの性能。市街地と高速道路だけでなく、ワインディングロードでもこのクルマは魅力的だ。そしてドライビングを満喫すると、宿には豊かなお湯と極上の料理が待っている。

今回は未舗装路を走ることはなかったが、「Offroad」モードを選ぶこともできる。たとえば、静かな森の中のキャンプ場へ向けて「Offroad」モードを選び、EV走行をするようなシチュエーションが想像できる。サーファーや釣り人が、夜明けの海岸を静かに走るような情景も目に浮かぶ。街中から自然の中へ、シームレスに移動できるのがGLC 350 e 4MATIC Sports Edition Starというクルマの真骨頂なのだろう。

箱根を満喫した帰路は、インテリジェントドライブと呼ばれる先進運転支援機能の恩恵にあずかる。アクティブディスタンスアシスト・ディストロニックを起動すると、高速道路ではハンドルに手を添えているだけで、車線をキープしながら前を走るクルマと適切な距離を保ちながら走ってくれる。アクセル、ブレーキをサポートしてくれる存在で、ドライバーへの負荷が大幅に軽減される。

ある場面では滑らかで静かに走るEVであり、またある場面ではガソリン走行に切り替えてパワフルな“顔”を全面に出してくる。そういった意味でも、このクルマはマルチタスキングに長けた稀有な一台といえるだろう。

ABOUT CAR

GLC 350 e 4MATIC Sports Edition Star

プレミアムミッドサイズSUVであるGLCのプラグインハイブリッドモデル。電気自動車の利便性と内燃機関の安心感を兼ね備えている。急速充電CHAdeMOと6.0kWの普通充電に対応し、電気のみでの航続可能距離は118km。
GLC 350 e 4MATIC Sports Edition Star

SHOP  INFORMATION

強羅花壇

政財界人や文豪に愛された別荘地、箱根・強羅に建つ名旅館。日本古来の素材を用いた和の世界観と洗練された現代的デザインが融合、一流ホテル・レストランで構成される非営利会員組織「ルレ・エ・シャトー」に加盟し、海外の賓客からも高い評価を得ている。
強羅花壇

※ 車両の仕様・装備は、撮影時点の仕様であり、日本仕様と異なる場合があります。