サステナブルな社会の実現を目指し、モデルラインアップの電動化を推し進めているメルセデス・ベンツ。その最新モデルであるEQE SUVに乗って、千葉県木更津市の広大な敷地で、食や農業、自然などを通じてサステナブルな循環型社会のあり方を体験できる複合施設「KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)」を訪れた。
Photo: Ken Takayanagi
Words: Kazuhiro Nanyo
Direction: Koichi Yamaguchi
カーボンニュートラルへの取り組みを象徴する
昨今、電気自動車はますます身近な存在となってきたが、電動化がカーボンニュートラルへのゴールではなく一つの手段である以上、このトレンドはサステナブルな社会の実現という観点からみても歓迎すべき潮流ということができるだろう。
メルセデス・ベンツは、パリ協定に端を発する目標より11年も早くバリューチェーンと車両のライフサイクル全体でカーボンニュートラルを目指す、「Ambition 2039」という長期的なロードマップを策定した。
2022年の時点で、メルセデス・ベンツはすでに生産工程におけるカーボンニュートラルを実現しており、中期的には2030年までに、車両の生産工程における使用エネルギーの70%以上を再生エネルギー由来とすべく、野心的に取り組んでいる。また2030年までに、市場が許す限りすべての新車乗用車を電気自動車とすることも視野に入れている。
さらに現在でも、北米のタスカルーサ工場で生産されるEQS/EQE両シリーズのスチール素材は、70%以上のリサイクル率で、100%再生エネルギーから造られている。つまり今回のEQE SUVは、生産段階から環境負荷を抑えて積極的にエネルギーマネージメントに取り組む、メルセデス・ベンツの姿勢を象徴するシリーズなのだ。
EVならではのスムーズで上質な走り
冬の晴れたある日、EQE SUVのハイパフォーマンスモデルたる「Mercedes-AMG EQE 53 4MATIC+ SUV Launch Edition」を、木更津市の「KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)」へと走らせた。
前者は、EQE SUVをベースにメルセデスAMGならではのプレステージ性、パフォーマンスを備えた、新世代のメルセデス製電気自動車だ。
後者は、音楽プロデューサーの小林武史氏が手がけた「農と食、アートと自然。いのちのてざわり」をテーマとする複合施設。循環型のオーガニックファームや酪農場、レストランやカフェ、宿泊棟などを擁し、サステナブルな自然と人の営みを体験できる。
まずKURKKU FIELDSへの道中をともにした一台から。こちらは通常モデルと異なり、縦格子のブラックパネルやハイグロスブラックがあしらわれたフロントバンパーなど、Mercedes-AMG EQE 53 4MATIC+ SUV Launch Editionの外観はよりスポーティに仕上げられている。
AMGモデルならではのハイパフォーマンスを誇りながらも、大容量バッテリーに加え、Cd値0.25という優れた空力特性もあって、航続距離は約450㎞に達する。これには効率の高い永久磁石同期モーター(PSM)を採用したこと、走行状況に応じてクラッチによって前輪をフリーにし、後輪駆動とするディスコネクトユニット(DCU)の助けも大きい。
インテリアでは、標準装備となるMBUXハイパースクリーンが目を引く。これは3枚の高精細パネルとダッシュボード全体を1枚のガラスで覆う先進的なインターフェイス。
シートはAMG専用の上質なナッパレザーとなる一方で、フロアカーペットには廃棄漁網からリサイクルした素材が用いられているなど、内装材についてもサステナビリティへの取り組みがなされている。
交通量が少なくない首都高の流れの中で、Mercedes-AMG EQE 53 4MATIC+ SUV Launch Editionは粛々と、しかし必要に応じて力強く走る。前後モーターの駆動力配分を最適化するトルクシフト機能の助けもあるだろう、湧き出るようなトルクのスムーズさが印象的だ。
AMGアクティブライドコントロールによるリニアなハンドリングを楽しんでいると、都内からKURKKU FIELDSまで60㎞あまりの道のりが実際よりずっと短く感じられた。EQE SUVならではの、しなやかで上質な動的質感のなせる業といえる。
サステナブルな循環システムを体感する
陽光きらめく千葉は木更津市にて30ヘクタールの敷地に広がるKURKKU FIELDSは、地産地消や有機食材を提案するだけの施設ではない。素材から食、人々の暮らし・ライフスタイルまで全てが一気通貫で自然と結びついていることを感じられる場所である。
ファミリー層のみならず幅広い世代に人気の施設だが、食と並んでユニークな点は、ここで用いられている電気の約8割が、クリーンな発電でまかなわれていることだ。
「サステナブルな農業は少なからぬ電気を必要とします。冷暖房や照明、機械や設備の動力はもちろんですが、夏の暑い時期に水牛が涼むためのミストをかけたり、堆肥がいい状態で発酵するようファンで空気を送り込んだり。ですから、可能な限り再生エネルギー由来の電気を用いることが、KURKKU FIELDSのコンセプトでもあります」。そう話すのは、広報担当の名取美咲さん。
場内の南向き斜面には、約8000枚の太陽光パネルで組み上げられた「ソーラーファーム」がある。そこで作られる2.4メガワットもの電力は、蓄電池を併用したオフグリッド網によって最適制御され、場内の各ネットワークへと配分されていく。施設に電力を供給するだけでなく、酪農や耕作を循環システムとして持続可能なものにするため、再生エネルギーの働きは欠かせない。
「ビニールハウスを含め、畑は場内に3ヘクタールほど、さらに場外にもありますが、育てた野菜は東京や神奈川、千葉などのスーパーマーケットに出荷しています。もちろん、レストランやダイニングなど場内の施設でも利用しています」
KURKKU FIELDSには、畑や酪農場、養鶏場、カフェ&レストランだけではなく、草間彌生や増田セバスチャンといった現代アーティストのパーマネントな作品展示もある。さらには、「晴耕雨読」という言葉の通り、農作業を体験するかたわらで、農耕や食、哲学や文学、そして科学や人類学といったテーマによる3300冊を収めた図書館もあり、ここでは読書を楽しむこともできる。
この「地中図書館」は著名建築家の中村拓志さんによる設計で、建物のほとんどが丘の斜面に潜ったような造りで、土と一体になりつつ、ホールや読書室に備えつけられた天窓を通じて外界とのつながりを感じられる、快適なスペースだ。
カーボンニュートラルから新しい価値を創造
このようにKURKKU FIELDSでの楽しみ方、過ごし方は、さまざまだ。さらに、日帰りの場内体験より一歩踏み込んだ、能動的な楽しみ方もある。それが「cocoon(コクーン)」と呼ばれるヴィラでの宿泊体験だ。
丘の上に連なる7つの宿泊棟は、それぞれ独立した造りで、ヴィラごとに樹木の名前が与えられている。テキスタイルなど内装や空間のディレクションはファッションブランド「ミナ・ペルホネン」の皆川明さん、設計は京都の建築事務所「Ikken」の吉田隆人さんによって手掛けられた。
すべての部屋は、KURKKU FIELDSの農地や木々を見下ろすと同時に、遠方に都心のビル群や東京湾を大きな窓やテラスから望むレイアウトで、外と中、自然と人の暮らしを意識させる造りとなっている。
ここでの宿泊体験は、畑で野菜を収穫することから始まる。収穫した食材を「perus(ペルース)」というカウンター8席のみのレストランで、国内外の星付きレストランで研鑽を積んだ山名新貴シェフに調理してもらうか、専用のキッチン「takka」でゲスト自らが料理するか、を選択できる。
こうしたジビエの加工肉や惣菜を提供する「CHARCUTERIE(シャルキュトリー)」もあれば、農場で採れた小麦による手作りパンが並ぶベーカリー「Lanka(ランカ)」、場内で採れた食材による滋味深い料理を堪能できる「DINING(ダイニング)」、さらには場内で採れた卵を使ったシフォンケーキの生産販売が行われる「CHIFFON(シフォン)」もある。
これらの施設から出たゴミなどの廃棄物は堆肥舎で堆肥化され、農業に用いられる。また、排水は浄化槽を経て濾過され、最終的に場内にある調整池から川へ流す仕組みになっている。どの要素が欠けても成立しない、このクルックフィールズという施設全体がひとつの循環をなすエコシステムというわけだ。
再生エネルギーを積極的に用いて、自然と人の営みの調和、循環サイクルを実現させるには、あらゆる過程で相応の手間や知恵が必要になる。クルックフィールズでは、そうした取り組みを、ゲストへの体験価値へと昇華させているのである。
それはモビリティにおけるメルセデス・ベンツのサステナビリティの追求も同様で、カーボンニュートラルを通じて電気自動車ならではの新しい価値を創造し、乗り手にもたらしていく。ゆえに、メルセデス・ベンツ EQE SUVのようなスペシャルな電気自動車は、そうしたバリューチェーンの最前線にある1台なのだ。
SHOP INFORMATION
KURKKU FIELDS
ABOUT CAR
※写真のモデルは欧州仕様となります。
Mercedes-AMG EQE 53 4MATIC+ SUV Launch Edition
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※ 車両の仕様・装備は、撮影時点の仕様であり、日本仕様と異なる場合があります。
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