Mercedes-AMG PETRONAS F1のチーム代表を務めるトト・ヴォルフいわく、2025年は「もっとも刺激と興奮に満ちた」シーズンとなる――。“モータースポーツ世界最高峰”の称号をもつF1世界選手権を舞台に、新たなマシン「Mercedes-AMG W16」、そして新たなドライバー・ラインナップを迎えたMercedes-AMG PETRONAS F1の挑戦が今ここに始まる。
words:Go Kato
“もっともエキサイティングな”シーズンの幕開け
2025年3月14日、オーストラリアのアルバート・パーク・サーキットで新シーズンの開幕を迎えるF1世界選手権。Mercedes-AMG PETRONAS F1は、昨シーズンを通じてそのポテンシャルを遺憾無く発揮したイギリス人ドライバーのジョージ・ラッセルと、新加入を果たしたティーンエイジャー、キミ・アントネッリ(イタリア)をドライバーに擁し、レース界最高峰における世界チャンピオンの座を目指す。4月開催の日本GP(第3ラウンド)を経て、最終戦となる12月のアブダビGPまで全24戦。完成度がアップしたニューマシン「Mercedes-AMG W16」で、ライバルチームとしのぎを削る死闘、熱戦を繰り広げていくことは間違いない。
「私たちMercedes-AMG PETRONAS F1は、これまでF1の世界で数々の記憶に残る物語を紡いできました。しかしこの2025年こそが、もっともエキサイティングな時代の幕開けになるといっても過言ではないでしょう」。そう話すのはチーム代表を務めるトト・ヴォルフだ。
「昨シーズンは、強敵のライバルチームを前に素晴らしいパフォーマンスを発揮し、勝利を重ねることができました。F1の世界でトップに立つには想像を超える努力と困難が伴います。しかし、その目標を達成するために絶対不可欠なドライバーがこのチームには揃っています。ジョージ・ラッセル、キミ・アントネッリの2人で、彼らはメルセデスが誇るジュニア育成プログラムを通じて成長を続けてきた才能あるドライバーです」
ヴォルフが語る2024シーズンでは、ラッセルがオーストリアGPでメルセデスF1初勝利を挙げ、続くラスベガスGPで2勝目を獲得。一方、今季からフェラーリへ移籍したハミルトンも2勝を記録し、チームはシーズン全4勝でコンストラクターズ・チャンピオンシップ*4位となった。
*個々のF1ドライバーが競うドライバーズ・チャンピオンシップとは別に、チーム(コンストラクター)が成績に応じて獲得するポイントの年間合計で順位を決定する。
そのラッセルに関してヴォルフは、「ジョージは現役F1ドライバーのなかでも、特に優れた存在であることをすでに証明しています。本当の意味で“戦えるマシン”をチームが提供できれば、その能力を十二分に発揮して、ドライバーズ・チャンピオンシップの頂点を狙う活躍を披露してくれると信じています」と語る。
今シーズンでF1デビューから7年目を数えるラッセルは、年齢的にも27歳となりプロドライバーとしてのテクニック、フィジカル、精神力はどのライバルにも引けを取らない完成度を誇る。2024年の活躍でさらなる自信と手応えを得たのに加え、ハミルトンの退団でファーストドライバーに昇格。その重大な責任をモチベーションへと変換し、昨シーズンを上回るパフォーマンスとリザルトが期待されている。
対するアントネッリは、イタリア・ボローニャ生まれの18歳。7歳で始めたカートで頭角を現すと、すかさずヴォルフの目に留まり、メルセデスの育成プログラムに参加することとなった。これまでF4、フォーミュラ・リージョナルでタイトルを獲得、昨年はF2でレース優勝を飾った逸材だ。
そのアントネッリに関してヴォルフは、「ルーキーシーズンならではの(パフォーマンスの)浮き沈みは避けられないかもしれません。しかし、われわれはこの2人のドライバーとともにシーズンを戦っていくジャーニー(旅)を楽しみたいと思います」と話している。
マシン完成度を極めたW16
現行のシャシー・レギュレーションで臨むのは4シーズン目となり、Mercedes-AMG PETRONAS F1のマシンが秘めるパフォーマンスの完成度は着実にアップしている――。そう語るのは、テクニカル・ディレクターを務めるジェームス・アリソンだ。
「われわれのマシンはより成熟した段階にあると自信をもっていえます。目に見えるほぼすべての部分のエアロダイナミクス(空力性能)を徹底的に改善したのみならず、昨シーズンのW15で見られた低速コーナーでの挙動やタイヤ温度の課題にも取り組みました。さらに、新しいフロント・サスペンションも採用しています」
2025シーズンの展望に関して、チームスタッフは口を揃えて、これまで以上に白熱したバトルがサーキット上で展開されると予想している。ヴォルフも「本当に厳しいバトルが続くシーズンになるでしょう。昨シーズンですら、各レースでどのチームが1位になるか予想するのはほぼ不可能なほどパフォーマンスの高さは拮抗していました。しかし、今年はそれ以上に白熱したシーズンになることが予想される。Mercedes-AMG PETRONAS F1が世界チャンピオンの座を目指すには、どのレースもベスト中のベストで臨むことが絶対不可欠です」と語っている。
2026年には大幅なレギュレーション変更が控えており、現行でのシーズンは今年がファイナル。F1史を彩った一つの時代の区切りであり、また近年のレッドブル全盛の牙城を切り崩すためにも、ヴォルフ、ラッセル、アントネッリを筆頭にチーム一丸となってシーズンに臨む体制はすでに整っている。
ラッセル、アントネッリ、そしてボッタス
ファーストドライバーとしてMercedes-AMG PETRONAS F1を文字どおり牽引していくラッセル。2024年は自身にとって「キャリア最高のシーズンだった」としながらも、その視線は来る新シーズンにしっかりと見据えられている。
「昨シーズンのさらに上をいこうというモチベーションは非常に高い。チーム全体に素晴らしいエネルギーがあふれていて、サーキットに出るのが待ちきれないほどの高揚感を感じているんだ」と話すラッセル。「今年はキミという新しいチームメイトが加入したこともエキサイティングだ。彼は信じられないほど速いドライバーで、僕たちは素晴らしいパートナーシップを築けると思うよ」
また、そのアントネッリも、「今シーズン、F1デビューできることが本当に嬉しい。(シーズンを通して)学び続け、また一貫性を維持することがとても重要だと思う。なんといってもジョージと一緒にレースをするのがとても楽しみ。彼は才能にあふれたドライバーで、僕たちはすでに意気投合している。最高のコンビになれると思う」と語っている。
さらにこの2人のドライバーをサポートするのが、サードドライバーを務めるバルテリ・ボッタス。2017年~21年にMercedes-AMG PETRONAS F1が達成した5度のコンストラクターズ・チャンピオンシップ獲得に多大な貢献を果たし、自身もF1での勝利は10回を数えるベテラン・ドライバーだ。
「メルセデスに戻ってくることができて、これ以上嬉しいことはない。故郷に帰ってきたような気分だよ。サードドライバーとして、全グランプリに参加するだけでなく、チームファクトリーではマシン開発をサポートする予定だ」とボッタスは語る。
F1マシン、ドライバー、チームスタッフと、新シーズン開幕に向けてすべてが万全に揃ったMercedes-AMG PETRONAS F1。2025シーズンを通じて展開されるチームのパフォーマンスから目が離せない。
ABOUT CAR
Mercedes-AMG W16
;Resize=(600,450))
※ 車両の仕様・装備は、撮影時点の仕様であり、日本仕様と異なる場合があります。