ゴルフ、グランピング、そして地元の豊かな土壌をふんだんに吸い込んだ食の数々──。高い走行性能もさることながらワゴンならではの積載力も最大限生かして一度の旅をマルチに楽しむ。E 220 d ステーションワゴンのハンドルを握って、このクルマだからこそ可能になる“欲張りな旅”へと出かけた。

photos: Kunihisa Kobayashi
words: Kazuhiro Nanyo

ショートステイにも最適なワゴン

陽光の眩しくなる初夏。日の射す時間が長くなり、青空の下でのアクティビティに心誘われる季節だ。日帰りドライブや週末旅行など、たとえショートステイであっても様々なプログラムで充実させたい欲求に駆られる人も少なくないだろう。

ラゲッジスペース重視のクルマ選びなら、いまや定番となったSUVも候補に上がるが、短期間でもコンテンツ満載の休暇を、そつなく期待以上の器用さでこなしてくれるのは、低い車高で走行性能が高いうえ、大容量の荷室スペースも備えたステーションワゴンだ。今回は、新たに登場したばかりのE 220 d ステーションワゴンで、東京都内から群馬・妙義山を通って軽井沢に向かうショートトリップに出た。

洗練されたスタイルと快適な走行性能

早朝5時台、暁の都内から関越自動車道を経由して、妙義山方面を目指す。明るさも速度域も刻々と変わる中で頼りになるのが、片側約100万画素で照射を最適化してくれるデジタルライトだ。暗い夜道などでも車両前方を明るく細やかに照らしてくれる制御で、ドライバーがあれこれ気を使う負担を軽減してくれる。

加えて印象的なのは、ISG(インテグレーテッドスタータージェネレーター)が組み込まれたMHEV(マイルドハイブリッド)の2Lディーゼルエンジンと9速ATの滑らかなコンビネーションだ。住宅街の狭い道から幹線道路、高速道路にいたるまで、ドライバーが欲しいだけの加速をスムーズに提供してくれる。力強く静粛性が高いのはいうまでもない。

高速巡航でもE 220 d ステーションワゴンは、一片の曇りもない快適な走りを見せる。低い重心による安定した乗り心地と、Cd値0.28という空気抵抗の少なさ、それゆえに風切り音も皆無といえる。150㎞程度の朝駆けなど長距離のうちに入らない、それくらいドライバーや乗員に疲れを残さないドライバビリティなのだ。さらには、走行中に車内のセンターディスプレイで「ENERGIZING COMFORT」も呼び出せる。シート上のリラクゼーションや音楽などを組み合わせ、五感を徐々に覚ます快適プログラムを備えているのだ。加えて滑らかな触感のナッパレザーシートやファンを内蔵したシートベンチレーター(ともにオプション)が車内空間の快適性をさらに高めてくれる。

旅のパートナーが座る助手席も同様で、専用ディスプレイ(MBUXスーパースクリーン)からリラクゼーション機能を呼び出したり、動画コンテンツを楽しむこともできる。

ラウンドのスタート前に体が“整う”

秀逸なドライバビリティと快適な車内居住性のおかげで、最初の目的地である「妙義カントリークラブ」に到着し、これからコースを周ろうという時には、身体がすでに“整った”感覚すらあった。これだけでもゴルフにもってこいのクルマといえるが、さらにはステーションワゴンならではの開口部の広い荷室スペースでゴルフバッグの積み下ろしが手軽なのも嬉しい。そして華やかな大人の社交場としての側面も色濃いクラブハウスのような場所では、洗練されたスタイルのステーションワゴンが、この上なく映えるということも付け加えておこう。

人気のゴルフ&グランピング施設へ

「表妙義」と呼ばれる妙義山南面の雄大なロケーションと向き合いながらのプレーは至福のひと時だが、じつはホールアウトした後もその余韻を楽しめる。併設の「妙義グリーンホテル&テラス」に、温泉とグランピング施設が用意されており、グランピング宿泊は食事とドリンクフリー、さらにホテル内の温泉入浴まで含まれるパッケージを提供している。

グランピング・テラスはゴルフ場から一段高台にあって、妙義山がより大きく迫って来る。その厳めしい山容に向かってドームテントが並ぶ様子は、まるでUFO基地のような未来感だ。定員4名のドームテント8棟のほかに、エアストリーム・キャンピングカーも2台(各定員2名)あり、そのうち一つはペットの犬も受け入れている。

またテラス最前列には「モルゲンロート(ドイツ語で「朝焼け」のこと)」と題されたフレームがある。早起きした宿泊客だけが文字通り“インスタ映え”する、曙に染まる絶景をおさめられる仕掛けだ。自前のテントを積み下ろしせずに、快適なアウトドアと雄大な自然を身近に楽しめるため幅広い層に人気というのもうなずける。

軽井沢の豊かな土壌を感じて

ゴルフバッグ×2個を収めたのみでは、E 220 d ステーションワゴンの荷室スペースはまだ相当な空きがある。ひと山を越えて軽井沢まで足を伸ばし、「軽井沢発地市庭(かるいざわほっちいちば)」へ地元産の野菜や食品を買い出しに行くことにした。ここは地元の食品衛生協会が運営する農産物直売所で、野菜や加工食品を数多く取り扱ううえにレストランや定期市もある。観光地から少し離れたところに位置するため地元住民に人気の施設で、さらに生産者に近いことから朝採れ野菜が評判なのだ。「市場」でなく「市庭」という名称も、そうした事情に由来する。

浅間山を背景とする平屋造りの建物は、森鴎外記念館や松本清張記念館など数々の建物を手がけてきた、地元長野県の宮本忠長建築設計事務所による建築だ。周辺の田畑と遠景の山並に溶け込みつつ、浅間山を引き立てるように、横一文字ではない不規則な屋根のうねりが美しい。この地のカラマツがふんだんに用いられたデッキテラスや売場内の梁まで、自然と調和するスペースで、軽井沢の豊かな土壌をふんだんに吸い込んだ新鮮食材や加工食品を吟味できる。

「少し買い過ぎたかも?」と思うぐらいに買い込んでも、分割可倒のリアシートを倒すとE 220 d ステーションワゴンの荷室スペースには、まだまだ余裕があった。リアタイヤが内側に張り出さないスクエアな荷室スペースで、トノカバーの外しやすさ、ゴルフバッグとの兼ね合いや固定のしやすさまで、とにかく使い勝手が良い。

ちなみに妙義山から碓氷峠にかけては、群馬と長野の県境で昔からの難所。今や高速道路が通っているとはいえ、それなりに曲がりくねった峠道は避けられない。だがE 220 d ステーションワゴンはそれこそ水を得た魚のように、ワインディングでも正確無比のハンドリングで山道を軽快に進んでいく。まるでアスリートのような躍動感と無駄のない体捌きで、ステーションワゴンはまさしく長距離ランナーなのだと感じられた。

さらにディーゼルエンジンの長所は、燃費効率の高さだ。旅の序盤、燃料タンクがフルに近い状態での走行可能距離は1200㎞と出ていた。が、都内に帰着して軽井沢への往復約350㎞をふり返ってみたところ、燃料計は1/4強しか進んでいなかったのだ。

スタリッシュで臨機応変に使いやすい荷室スペースを備え、穏やかな乗り心地と切れ味いいドライバビリティを併せもち、あらゆるシーンでドライバーや乗員の快適に尽くすクルマであること。E 220 d ステーションワゴンは、実用的ドライバーズカーとして究極の優等生といえる一台なのだ。

ABOUT CAR

E 220 d ステーションワゴン

豊かな伝統を誇るステーションワゴンの正統であり、現代のライフスタイルに合わせた広い荷室スペースを備えるE 220 d ステーションワゴン。 メルセデスの高度な安全性能と、安心感に満ちた極上のドライビングの双方を楽しめる。
E 220 d ステーションワゴン

※ 車両の仕様・装備は、撮影時点の仕様であり、日本仕様と異なる場合があります。