2024年に開催されるパリの国際大会で、新たに競技種目として加わるブレイキン。現時点で、最も金メダルに近いとされているのがShigekixこと半井重幸さんだ。21歳という若さでありながら国際大会で46回の優勝を誇り、2023年2月の全日本ブレイキン選手権では 3連覇を達成。そんなShigekixさんが普段愛用しているGLBから電気自動車EQBに乗り換え、かつて激戦を繰り広げた国立代々木競技場の体育館を訪れる。
photo: Taisuke Ota
words: Takeshi Sato
エンジン車と電気自動車の違いがよくわかる
「あのときの嬉しい気持ちが蘇ってきますね」
Shigekixさんがそう言いながら見つめたのは、国立代々木競技場の体育館。2月に行われた全日本ブレイキン選手権で3連覇を果たした、思い出の地なのだ。
「練習を代々木でやっていることもあって、この周辺はクルマでよく通っているんですが、敷地の中に入るのはあのとき以来ですね」
電気自動車EQBは、カメラマンの誘導に従って体育館のエントランスに停められた。日本を代表する建築家・丹下健三が設計した、吊り屋根構造の美しい建築を背景に、EQBのスタイリッシュなデザインが映える。これまでGLBと生活をともにしてきたShigekixさんにEQBに乗っていただき、率直な感想をうかがうというのが、今回の「EQカタリスト」の企画の趣旨だ。
EQBから降り立ったShigekixさんは、「このクルマに乗せていただくというのは、とても興味深い体験でした」と切り出した。
「メルセデス・ベンツの方から、いつも乗っているGLBと、このEQBは基本構造が同じだとうかがいました。だから、エンジン車と電気自動車の違いがより明確にわかるという意味で、とてもよい経験ができたと思っています」
自宅のリビングのようにくつろげる
エンジン車のGLBから電気自動車のEQBに乗り換えて最初に感じたことは、違和感がないことだったと振り返る。
「基本構造が同じだから当然なのでしょうが、まず運転席に座ったときに見える景色が同じでした。運転の操作方法も基本的には同じで、戸惑うようなことはまるでありません。電気自動車に乗るのは初めてなので、まったくの別物だったらどうしようという不安もありましたが、エンジン車に慣れ親しんだ方でもすんなり移行できて、困ることはないなというのが第一印象でした」
違和感なく乗り換えたShigekixさんだが、運転をしてみるといくつかの点で大きな違いを感じたという。
「まず感じたのは圧倒的に静かだということです。しかもオーディオの音が素晴らしいので、ダンサー仲間を乗せて音楽をかけるとみんな驚きますね。大きな声を出さなくてもスムーズに会話ができるし、なんていうか、自宅のリビングにいるみたいでした。僕が運転しているので、うつらうつらしている後輩も寝ないようにがんばっているんですが(笑)、みんながリラックスしている姿を見るのはうれしかったですね。もうひとつ、アクセルペダルを踏むとすーっとスムーズに加速するので、ペダル操作が楽というか、ストレスがありませんでした」
アクセルペダルを踏み込んで、ある程度まで回転を上げると力を発揮するエンジンに対して、モーターは電気が流れた瞬間に最大の力を発揮する。両者の性格の違いからそう感じたのではないかと説明すると、Shigekixさんはうなずいて続けた。
「GLBも加速は滑らかで力強いと思っていたんですが、比べると違いますね。それから、パドル操作で減速の強さを調整できる仕組みもおもしろかったです。減速を強くするとブレーキペダルを踏む機会が減るので運転が楽になる気がしましたが、エンジン車と同じくらいがいいと感じる人もいるはずです。だから、自分の好みの設定が選べるところは気が利いていると思います」
では逆に、GLBとEQBに共通するものはあるのだろうか。
「それは乗り心地のよさですね。どちらも快適で、長時間運転しても疲れない。それから僕は高速道路で、追従するクルーズコントロールをよく使うんですが、ああいった機能の安心感、安全性の高さも共通していると思います。内外装のデザインがお洒落なのも共通で、どちらも使いやすいサイズなのに荷室が広くて3列目シートがあるので助かっています。3列目は毎日使うわけではありませんが、仲間をたくさん乗せるときに重宝しています」
お手本がいない状況で試行錯誤する
ブレイキンという競技の話題に移ると、いよいよパリの国際大会が1年後に迫っている。もう1年しかないという感覚なのか、それともまだ1年もあると感じているのだろうか。
「もう1年しかないという感じはしませんね。ブレイキンが新種目になると決まった瞬間から、自分のなかでカウントダウンしながらやるべきことをやってきたので、残りの1年間も同じように過ごしていくと思います」
国際大会に向けて、おそらく世界中のダンサーがShigekixさんの動画を見て研究しているはずだ。背中を追われ、初代王者の最有力候補と言われることに、プレッシャーを感じることはないのだろうか。
「確かに、プレッシャーを感じることもあります。けれども、いまの立場にいるからこそ経験できることもあるし、ほかの人には見ることができない景色を見ているとも感じています。この状況を笑顔で乗り越えられるくらいじゃないと、自分が理想とするレベルには行けないと思っているんで、“これを乗り越えてレベルアップできたら、ちょっとしたことじゃ困らなくなるぞ”と自分に言い聞かせて、モチベーションにしています」
メルセデスの電気自動車もまた、未来のモビリティを牽引し、先頭を走るがゆえに、チャレンジングな課題を乗り越えなければならないモデルだ。けれどもShigekixさんと同じように、パイオニアだからこそ見える景色がきっとあるはずだ。
最後にShigekixさんは、こう語った。
「手本となる先達がなかなかいないので、何をするのが正解なのか、判断が難しいところがあります。でも試行錯誤をしながら、ブレイキンの可能性を広げて、次の世代につなげられればいいと思っています」
この発言の「ブレイキン」の部分を置き換えると、メルセデスの電気自動車の存在意義にぴたりとあてはまるのではないだろうか。
PROFILE
Shigekix
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ABOUT CAR
EQB
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※ 車両の仕様・装備は、撮影時点の仕様であり、日本仕様と異なる場合があります。