インテリア、建築、プロダクト、そしてグラフィックなど、さまざまな領域のデザインを手がけるグエナエル・ニコラさん。世界的ラグジュアリーブランドからも指名される気鋭のクリエイティブディレクターの目に、「EQE 350 4MATIC SUV Launch Edition」のデザインはいかに映ったのか?
photo: Ken Takayanagi
words: Kazuhiro Nanyo
direction: Koichi Yamaguchi
EQE SUVは新しい価値観を広め、未知の体験を提供する
そのグローバルな経験と透徹した視線で、さまざまなラグジュアリーメゾンから求められるクリエイティブディレクターのグエナエル・ニコラさんを今回、「EQE 350 4MATIC SUV Launch Edition」に引き合わせた。ラグジュアリーにおけるデザインを知悉する彼に、その重要性や果たすべき役割を尋ねるためだ。
周囲になじみやすい優美な存在感は、よりカジュアルにいえば“コミュ力”の高いデザインゆえ、というのだ。
唯一無二のクラフトマンシップあふれるインテリア
続いては、ネバグレーとビスケーブルーに彩られた本革レザー仕様のインテリアへ、踏み込んでみる。
「素材がとてもいいですね。ラグジュアリーブランドにふさわしいクオリティ、クラフトマンシップ。
一方で、このレザーシートに施されたパンチングの穴はパラメトリックな不等ピッチで、そこはハイテクな感じがします。
でも全体的にヒューマンタッチで、インダストリアルな雰囲気がしない。メーターパネルやセンタースクリーンが大型で、EQE SUVがコミュニケーションのとりやすそうなクルマだと予感させます。
室内が広々として明るくて、食卓や室内が会話で心地よくざわめくような雰囲気が似合う空間をイメージさせますね」
次にタッチスクリーン内のメニューを操作しながら、パープルだったアンビエントライトの設定を変更。パラメーター上で指をすべらせると、この日のシンプルなスーツのセットアップが映える、薄いベージュを早々に選びとった。
「やはり、パーソナライズすることが前提の機能なんですね。ジェントルなモードにして心が落ち着きました」
そういって、ニッコリと笑った。さらにスクリーンを操作しながら、エナジャイジングコンフォートプログラムを試してみた。
「(色々なプログラムを再生しながら)ビジュアルと音と香りまで、これは面白いですね!」
波の音のさざめきや、森の中で鳥の声が渡っていくような爽やかな空気感といった、シンプルなヒーリング系もあれば、赤を基調としたイメージや照明の下でビートの効いた音楽やイメージが流れるトニックなものまで。ニコラさんはプログラムを切り替えながら、こうもつぶやいた。
「ショートカットですぐに呼び出せるよう、自分好みに設定できるのはいいですね。今後、機能が設定できるだけではなく、ドアを開けてシートに腰を下ろした瞬間から、デフォルトで始まってくれるようになったら最高ですね。
カレンダーや時計や温度計はあるので、季節や時刻に合わせていろいろな提案をしてくれるようになれば、さらにレイヤーがひとつ省けて、乗り手とクルマがこれまで以上に近くなるんじゃないかな、と思ったりします」
さすがの目のつけどころというか、デザイナーならではのユニークな視点である。
続けてニコラさんは自分のスマートフォンをつなぐと、「これはディーラーを訪れたら、娘と必ず念入りに試すポイントなんです」と目くばせしながら、EQE 350 4MATIC SUV Launch Editionに標準装備されているBurmester®3Dサラウンドサウンドシステムの車載オーディオのボリュームを上げた。
「音もいいですね。とてもクリアだけど耳にキンキンしてこない。広がり感もあるし、楽器ひとつひとつの音色もはっきり聞こえてきます」
甘い調べのAORから、コンサートホールの交響楽や室内楽のアンサンブルまで。自分好みにカスタマイズされた車内空間で色々な音楽を楽しみつつ、いよいよ東京の街へと、EQE SUVで繰り出してみた。
静的状態でも美しいフォルム
「SUVというと自然の中に出かけていく割には攻撃的というか、過剰なプロテクションをまとったデザインが多いものですが、EQE SUVは構えたところがなくて、走りそのものもエフォートレスで容易と感じます。
とはいえ、このなめらかで余裕ある走りは、街中だけだともったいない。EVは力強さも美点だから、アメリカのアリゾナとか日本なら北海道とか、そういう広々としたところで解き放ってドライブしたくなりますよね」
その静粛性の高い空間とスムーズな走りに、ニコラさんも多々インスパイアされるところがあったようだ。
「ステアリングの径が小さくて、握りの厚みがちょうどいいですね。EQE SUVは外から眺めていたら、ホイールベースが長いから小回りはどうかなと思っていたけれど、リア・アクスルステアリングのおかげで、想像以上に小さく曲がれてびっくりしました」
早々とEQE SUVの操作感覚になじんだニコラさんの口元から、明らかに微笑がもれてきた。
外観から内装、動的質感まで、すべてがなめらかなタッチで、ひとつの美を構成しているかのような世界観は、それこそメルセデス・ベンツの掲げる「センシュアル・ピュリティ(官能的な純粋さ)」というデザイン・フィロソフィに収斂してくる。
最後に、ニコラさんにとって、クルマやプロダクトにおいて美しいデザインとは、どのようなものなのか、その美学を尋ねてみた。
「クルマは動くものだけど、大半の時間は動かずに止まっていると思うんです。それでも美しいことが大事。
クルマが単体で美しいだけでなく、街の中に置かれたときに存在感があること。走っていない静的な状態でも、生命感を感じさせること。街と調和するだけでなく、街を反映すること。着られた状態の服の方が、着られていない状態の時より美しいのと同じです。
メルセデス・ベンツの電気自動車は、シリーズ全体の外観に統一感が出てきただけでなく、乗り手や状況に応じて完成するような、そういうニュートラルな方向に近づいてきていますね」
インテリアについても、乗り手に寄り添うことで完成度を高めるという方向がはっきりしているという。
「いろいろとタッチスクリーン内の機能をパーソナライズしてみたら、少しずつ未来が感じられました。
これまで自動車の世界だけで進化してきたクルマより明らかにボタンは少なくなっているのに、できることは拡がっている。インターフェイス面でも頭ひとつ抜けていますね。
僕は常々、未来は引き算にあると考えていて、今は情報が多い時代だからこそ、自分の選択肢に寄り添ってくれるインテリジェンスが欲しくなるんです」
今回目の当たりにしたEQE SUVは、気鋭のクリエイティブディレクターの目にも、次の時代に歩を進めた一台、そう映っているようだ。
PROFILE
グエナエル・ニコラ / Gwenael Nicolas
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ABOUT CAR
EQE SUV
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※ 車両の仕様・装備は、撮影時点の仕様であり、日本仕様と異なる場合があります。
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