市販車をベースとしたツーリングカーレースで、サーキット上のパフォーマンス、熱狂的な人気の双方において国内最高峰の一つに数えられるSUPER GT。このレースシリーズに「Mercedes-AMG GT3」で参戦する5チームが、開幕したばかりの新シーズンに向けた意気込みを語った。

photos : Masakatsu Sato
words : Kazuhiro Nanyo

メルセデス勢がシーズン初戦で躍進

日本国内で開催されるツーリングカーレース*の最高峰としてその名を知られるSUPER GT。マシンの馬力によってGT500とGT300の2つのカテゴリーがあるが、GT300クラスには、「Mercedes-AMG GT3」を擁するチームが5チーム参戦しており、GT300を競う車種としては最大勢力を誇っている。

*市販車をベースとしたレースカーで競うレース。

去る4月初旬に岡山国際サーキットで行われた2025シーズン初戦では、昨年に惜しくもチームランキング、ドライバーランキングともに2位となったK2 R&D LEON RACINGが、蒲生尚弥/菅波冬悟という新しいドライバー布陣が駆るMercedes-AMG GT3で初勝利を挙げ、幸先よくシーズンの幕を開けた。またGOODSMILE RACING & Team UKYOの谷口信輝/片岡龍也が4位、PACIFIC RACING TEAMの阪口良平/冨林勇佑が5位に食い込むなど、Mercedes-AMG GT3勢の多くが上位に進出し、このレースカーがもつ高い戦闘力を見せつけた。

さらに、他車との接触など上下動の激しいレース展開となったTEAM UPGARAGEの小林崇志/野村勇斗はファイナルラップ直前にリタイア、R’Qs MOTOR SPORTSの加納政樹/庄司雄磨は25位完走という結果に終わった。だが野村選手と庄司選手はSUPER GT初参戦ながら、両者とも非凡な才能を見せ、実りあるレース内容を披露した。

“国内最高峰”と称されるSUPER GT

初陣を勝利で飾ったK2 R&D LEON RACINGを率いるのは黒澤治樹監督。その黒澤監督にSUPER GTが国内のモータースポーツ最高峰といわれる理由について訊くと、次のような答えが返ってきた。
「まずはドライバーのレベルの高さ。私自身、海外レースも経験しておりますが現在のSUPER GTのドライバーのレベルや競争の熾烈さは、他のレースにひけをとらず、世界最速の箱車(ツーリングカー)選手権でもあります」
「またタイヤメーカーが多く競合している世界的に珍しい選手権でもあり、競技レベルが激しく厳しいと感じています。加えてGT500クラス、GT300クラスが混走することで生まれる駆け引きやオーバーテイクも魅力ですね」

さらにもう一人、世界のモータースポーツを熟知する元F1ドライバーで、GOODSMILE RACING & Team UKYOの片山右京監督も、別の観点からSUPER GTの難しさと魅力を次のように表現する。
「GT500もGT300も、日本のトップドライバーたちが多種多様なマシンで戦う国内最高峰のレース。なかでもGT300クラスは、Mercedes-AMG GT3をはじめ世界のGTレースカーのスタンダードであるFIA GT3車両と、SUPER GT独自のGT300規定のマシンが戦う──そんな車種の多様さが魅力であり、同時に難しいところだと思います」

マシンの信頼性と充実したサポート体制

Mercedes-AMG GT3をチームマシンに選択する理由の一つに本国ドイツからのサポートが充実している点も大きく寄与している。前述の片山監督は「ドイツのMercedes-AMGから来てくれているエンジニアはとても経験豊かで、世界中のレースで培った経験とノウハウから、チームスタッフとは違った目線でセッティングのアプローチをしてくれるので、(今シーズンは)さらに総合力が高まっています」と語る。

同様に、マシンの信頼性とサポート体制に魅力を感じ、今シーズンからMercedes-AMG GT3にスイッチしたのがTEAM UPGARAGEだ。石田誠監督と小林崇志選手に、新しいマシンと新しいシーズン、そしてチーム体制について訊くと──。
「世界中の様々なレースで活躍している実績とパフォーマンス、サポート体制などを考慮して、Mercedes-AMG GT3こそが勝利にもっとも近づける車両だと判断しました」と石田監督が語れば、小林選手も「昨シーズンは苦しい時期が続きましたが、終盤のもてぎ戦で表彰台を獲得できたことで、チームの団結が一層強固になりました。そして今年はニューマシンで野村勇斗選手と組み、大きな変化を感じながらシーズンを迎えました。これまで培ってきた経験を活かして悲願のシリーズチャンピオンを獲得できるよう頑張ります」と抱負を語った。

一方で石田監督はSUPER GT、特にGT300クラスは国内レースの檜舞台である一方、世界へのステップアップである点も意識しているという。
「参戦する多くのチーム、車両、ドライバーの中から世界へ羽ばたく存在も輩出しているからこそ、“国内最高峰”と表現されているのだと考えます。特にGT300クラスは下位カテゴリから上がってきて参戦するドライバーも多く、最高峰でありながら育成面も兼ね備え、GT500との混走もあって非常に魅力的。チームとして11年目の今シーズン、昨年のFIA-F4チャンピオンである野村勇斗選手を迎え、Mercedes-AMG GT3で大幅に戦闘力をアップしていけると考えています」

Mercedes-AMG GT3で戦う理由

Mercedes-AMG GT3を擁するSUPER GTチームの多くが、このレースカーの幅広い適応力や安定感を指摘する。なかでもK2 R&D LEON RACINGの黒澤監督が、他ならぬMercedes-AMG GT3でSUPER GTを戦う理由を次のように総括してくれた。

「絶対的な信頼性、これに尽きます。いくら速くてもレースは最後にチェッカーフラッグを受けなければ結果は残りません。どこのサーキットでもマルチに速く、何よりトラブルが少ない。私自身、SLS GT3に乗っていますがMercedes-AMGは当初から基本コンセプトや理念が全く変わらない。そうした点を信頼して使い続けています」
「(昨シーズンは2位でしたが)今年はひとつ高いところにのぼり詰めますので、ご声援よろしくお願い致します!」

継続を力に変えるマシンとサポート体制あってこその高いパフォーマンス。ライバルとのしのぎを削る戦いが続くSUPER GTにおけるMercedes-AMG GT3勢のさらなる活躍に期待は高まるばかりだ。

TEAMS

GOODSMILE RACING & TeamUKYO

Car No. 4

マシン:グッドスマイル 初音ミク AMG
監督:片山右京
ドライバー:谷口信輝/片岡龍也
GOODSMILE RACING & TeamUKYO Car No. 4

PACIFIC RACING TEAM

Car No. 9

マシン:PACIFIC アイドルマスター NAC AMG
監督:岡田健司
ドライバー:阪口良平/冨林勇佑/藤原優汰
PACIFIC RACING TEAM Car No. 9

TEAM UPGARAGE

Car No. 18

マシン:UPGARAGE AMG GT3
監督:石田誠
ドライバー:小林崇志/野村勇斗
TEAM UPGARAGE Car No. 18

R’Qs MOTOR SPORTS

Car No. 22

マシン:アールキューズ AMG GT3
監督:黒田朋宏
ドライバー:和田久/加納政樹/城内政樹/庄司雄磨
R’Qs MOTOR SPORTS Car No. 22

K2 R&D LEON RACING

Car No. 65

マシン:LEON PYRAMID AMG
監督:黒澤治樹
ドライバー:蒲生尚弥/菅波冬悟
K2 R&D LEON RACING Car No. 65

RACE CALENDAR

5/03 - 04:Round2 FUJI/富士スピードウェイ
6/27 - 28:Round3 SEPANG/セパン・インターナショナル・サーキット
8/02 - 03:Round4 FUJI/富士スピードウェイ
8/23 - 24:Round5 SUZUKA/鈴鹿サーキット
9/20 - 21:Round6 SUGO/スポーツランドSUGO
10/18 - 19:Round7 AUTOPOLIS/オートポリス
11/01 - 02:Round8 MOTEGI/モビリティリゾートもてぎ

ABOUT CAR

Mercedes-AMG GT

F1で培った究極のパフォーマンスとラグジュアリーを兼ね備えたMercedes-AMGの最高級モデル。ロングホイールベース、ワイドなオーバーフェンダーなどレース直系のダイナミックなデザインも魅力の一台となっている。
Mercedes-AMG GT

※ 車両の仕様・装備は、撮影時点の仕様であり、日本仕様と異なる場合があります。