メルセデス・ベンツのSUV「GLA」。日本の道路事情に適したコンパクトなボディに、メルセデスならではの走行性能や快適性を備え、街乗りからアウトドア、そしてロングドライブまで難なくこなすオールラウンダーだ。そんなGLAを日本一標高が高い国道として知られる「志賀草津高原ルート」へと走らせた。車窓に広がる壮観と、ダイナミックなワインディングロードを楽しむために。
photos: Banko Gojo
words: Koichi Yamaguchi
天空の国道へ
国土のおよそ75%を森林山岳地帯が占める日本には、北は北海道から南は九州まで数多の山岳道路が存在する。なかでも、日本アルプスをはじめとする険しくも美しき山々が点在する長野県周辺は、絶景のワインディングロードの宝庫だ。
そのひとつが「志賀草津高原ルート」。群馬県吾妻郡と新潟県妙高市をつなぐ国道292号の一部であり、日本を代表する名湯、草津温泉から志賀高原を経て湯田中渋温泉郷へ至る全長約46キロの山岳道路は、最高地点が標高2172メートルに達し「日本一標高が高い国道」として知られる。今回は、山々が織りなす絶景と雄大なワインディングロードでの走りを楽しむべく、“天空の国道”を目指した。
旅の相棒となるのが、メルセデス・ベンツのSUVラインナップでもっともコンパクトな「GLA」。SUVならではの力強さとクーペのような流麗さが融合したボディは、日本の道路事情に適したサイズながら、大人4人が快適に移動できる上質な車内空間と、435ℓの広々としたトランクスペースを備える。
4MATICがもたらす安定した走りや、上位モデル譲りのインテリジェントドライブ機能など、コンパクトSUVの枠を超えた1台であり、街乗りからアウトドア、ロングドライブまで、あらゆるシーンにマッチするオールラウンダーだ。
「GLA 180」「GLA 200 d 4MATIC」「GLA 35」なども揃うラインアップのなか、今回選んだのは、街乗りへの高い適合性とハイパフォーマンスなドライビングエクスペリエンスを兼ね備えたAMG最上級、Sモデルである「Mercedes-AMG GLA 45 S 4MATIC+」。コンパクトなボディに、421PSとスーパースポーツカー並みのパワーを誇る2リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載したハイパフォーマンスモデルだ。雄大なワインディングロードをドライブするには最適な一台といえる。
外観のイメージをいい意味で裏切る、扱いやすさ
縦ルーバーがあしらわれたフロントのAMGグリルや、21インチのAMGアルミホイール、ディフューザーデザインのリアバンパーといったスポーティなアイテムで彩られたエクステリアは、一般的なGLAとは一線を画す迫力に満ちあふれている。上質なレザーやカーボン調のインテリアトリムがあしらわれたコックピットに収まると、しっかりと身体をサポートするスポーツシートが、AMGならではのパフォーマンスを主張する。
しかし、8速AMGスピードシフトDCTをDレンジに入れ、静かにアクセルペダルを踏み込むと、Mercedes-AMG GLA 45 S 4MATIC+は400PSオーバーのハイパワーを誇ることが嘘のように滑らかに走り出した。
市街地走行で有り難いのは、SUVならではの視点の高さだ。コンパクトなボディと相まって、交通量の多い幹線道路でも狭い路地でも、気負うことなく走ることができる。
足まわりはハイパフォーマンスモデルゆえ相応に引き締められているが、ボディ剛性が高いこともあり、路面の凹凸をまろやかにいなしてくれる。取り回しの良さといい、滑らかな乗り味といい、スペックやアグレッシブな外観から身構えていたドライバーの意識を、いい意味で裏切ってくれる。
走行シーンに応じてドライブモードが切り替えられる「AMG ダイナミックセレクト」には、「スリッパリー」「インディビジュアル」「コンフォート」「スポーツ」「スポーツ+」、そしてサーキット走行向用である「レース」の6種類が設定され、各モードと連動して、ダンパーの減衰力を制御する「AMG RIDE CONTROLサスペンション」やエンジン特性、ステアリングの重さなどが最適化される。
安心で快適な高速走行
強い西日がビルや路面に照り付ける夕刻、都心の喧騒を抜け、清々しい空気に包まれた草津温泉を目指す。関越自動車道に入り速度が高まると、ドライブモードを「コンフォート」から「スポーツ」へ。すると、足まわりとステアリングフィールがより引き締まり、さらに車両の挙動が落ち着きを増した。コーナーや車線変更でもドライバーがイメージしたラインを寸分違わずトレースするから、高速走行による不安やストレスを一切感じることがない。
一方、追い越し時には、パワフルなターボエンジンがアクセルペダルに載せた右足のわずかな動きにも反応し、瞬時にコンパクトなボディを力強く加速させる。AMG 4MATIC+がもたらす安定感も抜群で、常に4輪が確実に路面を捉えている様子が、ステアリングやシートを通して伝わる。
ステージがドイツ・アウトバーン(の速度無制限区間)ならば、200km/hオーバーでどこまでも快適に走り続けられるだろう。そんなことを想像してしまうほど、Mercedes-AMG GLA 45 S 4MATIC+での高速走行は快適で安心感に満ちている。それゆえ、草津温泉までの約200kmの道のりは、いつもより確実に短く感じられた。
水を得た魚のようなワインディングロードでの走り
温泉宿でしばし身体を休め、翌朝、夜が明ける前に志賀草津高原ルートの最高地点、渋峠を目指した。美しい山並みを照らし出す朝日をレンズに収めるためだ。
闇に包まれた志賀草津高原ルートを、ハイペースで駆け上がる。大小さまざまな曲率のコーナーが散りばめられたワインディングロードでのMercedes-AMG GLA 45 S 4MATIC+は、まさに水を得た魚のようだ。
正確無比なステアリング、ロールやピッチングをピタリと抑え込む引き締まったサスペンション、強力なパワーと刺激的なサウンドを伴って7000rpmのレッドゾーンまで一気に吹き上がるエンジンなど、SUVをドライブしているという事実を完全に失念してしまうほど軽快でスポーティな走りを楽しめるからだ。
ドライビングモードを「スポーツ+」にセレクトすると、各操作に対するレスポンスがさらに鋭さを増すが、一般道では「スポーツ」でも十分。むしろ「レース」モードでサーキット走行を楽しみたいという思いに駆られる。それほどまでに高いパフォーマンスを備えているのだ。
草津温泉から距離にして約20km、標高差にして約1000メートル。標高2172メートルの渋峠に到着してほどなくすると、朝日が東の空を淡い橙色に染め、周囲の絶景をうっすらと浮かび上がらせた。
眼前には芳ヶ平湿原や噴煙が立ち上る白根山が広がり、はるか彼方には美しい稜線が幾重にも連なる。天候に恵まれれば富士山まで見渡すことができるという。さらに渋峠から数キロ先の横手山からは、斑尾山、妙高山、黒姫山、戸隠山、飯縄山、浅間山といった名峰の数々を望むこともできる。まさに天空の国道と呼ぶにふさわしい絶景だ。
優れたオールラウンダーとしての資質
奇跡ともいえる雄大な景色とワインディングロードをしばし楽しむと、帰路についた。関越自動車道では、先行車を追従しながら正確に車線をキープしてくれるインテリジェントドライブを作動させ、Burmester®サラウンドサウンドシステムが奏でる音楽を楽しみながら走る。
ナビゲーションをはじめさまざまな操作を手元で行える最新世代の静電容量式ステアリングホイールや、対話型インフォテインメントシステム「MBUX」により、あらゆる操作をストレスなく行えるのが有り難い。
往路のように積極的にドライビングを楽しむだけでなく、リラックスした気分での移動をも叶えてくれる。そんな資質を備えているのも、Mercedes-AMG GLA 45 S 4MATIC+が優れたオールラウンダーと評せられる所以なのである。
ABOUT CAR
Mercedes-AMG GLA 45 S 4MATIC+
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※ 車両の仕様・装備は、撮影時点の仕様であり、日本仕様と異なる場合があります。