伝統と格式をもつメルセデス・ベンツのクルマは歴史ある日本の風景にもマッチする──。そんな予感に胸を躍らせつつ、“小江戸”の一つとして知られる千葉県・佐原へと足を延ばした。

photos: Kunihisa Kobayashi
words: Kazuhiro Nanyo

日々の生活をアップグレード

コンパクトカーを選ぶ面白さとは、自分の暮らしや乗り方にピタリと合った、“ジャストフィット”の感覚をクルマに見出すことといえる。街行く人の目を引く高いデザイン性はもちろん、日々の生活に不可欠な機能性・操作性、そして長短どちらのドライブでも存分に発揮される快適性も決して妥協できない最重要ポイントだ。

その点、2023年に新型モデルが登場した「Aクラス」は、クルマとともにある日々の暮らしの感覚を一段上へと底上げしてくれる1台といえる。つまり、一緒に時間を過ごすことで生活がより豊かになることを実感できる、そういうクルマなのだ。そんなAクラスの、日常的な街乗りのみならず、中・長距離ツーリングにおける本領を見極めるべく、千葉県は香取市佐原地区へと向かった。

歴史あふれる水郷の町

佐原は、関東で川越市(埼玉県)、栃木市(栃木県)と並んで昔ながらの町並みや雰囲気を今に伝える“小江戸”のひとつで、江戸時代から近くを流れる利根川の水運の要地として栄えた水郷の町としても知られている。また、日本各地を周って測量し、実測による日本地図を初めて完成させた伊能忠敬は、この地で米や酒を商う商家の当主として活躍した。今も明治・大正にかけての旧商家が、町を南北に流れる小野川沿いに立ち並び、歴史的景観が保たれているのみならず、昔からの家業を続けている家が多いことから、関東では初の「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されている。

スポーティさと洗練性が融合した1台

朝早く都内で今回の旅の伴となる「A 180(BSG搭載モデル)」と対面して、まず印象づけられたのは、AMGレザーエクスクルーシブパッケージによるゴージャスな内装だ。鮮やかなレッドとブラックのコントラストが印象的なインテリアは、ドアを開けた瞬間こそそのインパクトは強めだが、いざシートに身体を滑り込ませてからは視界のレッドの面積は減じられ、スポーティさの中に十分な落ち着きを感じることができる。

また、アルミニウムインテリアトリムをあしらったダッシュボードに設置された10.25インチワイドのメディアディスプレイは、小径3本スポークのD型ステアリングを握ったまま、最新世代のMBUXを声だけで起動し、ナビゲーションの目的地を設定することができる。
いざドライビングへと向かうアクティブな気分に切り替えるための通過儀礼のすべてがとても心地よい。

道路幅が狭くストップ&ゴーの少なくない市街地では、ステアリング操作に対する取り回しの軽さと、BSG(ベルトスタータージェネレータ)を備えた1.4ℓターボエンジンの軽快さが際立つ。首都高に入っても合流路やアップダウンで思い通りの加速を発揮し、速度域が一段上がると卓越したスムーズさを感じさせる。
そして東関道道から先、時速120㎞の高速巡航ではコンパクトカー離れした静粛性で、車内の会話を楽しむことができる。また、「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック」と「アクティブステアリングアシスト」のおかげで、ステアリングに手を添えているだけで前走車と最適な距離を保ちながら車線をキープできるため、ちょっとした距離を移動する際にもドライバーの疲れが抑えられるのも嬉しい。

町並みに溶け込むAクラスの存在感

都内から東へ100㎞ほど進んだ先に、目指す佐原の町並みはあった。利根川の支流である小野川沿いの道は柳の並木で縁どられ、その昔は舟を着けて荷の積み下ろしが行われていた河岸がある。瓦葺きで土蔵造りの商家が多いなか、煉瓦造りの商館やハイカラな洋館も点在し、中継港として栄えた往時の賑わいを彷彿させる。

こうした町並みに、最新のクルマで入り込むと、どこかミスマッチな印象になりがちだが、そこはやはりメルセデス・ベンツがまとうオーラなのだろう。AMGラインパッケージを装着したA 180(BSG搭載モデル)の存在感が、それこそ歴史的な町並みに溶け込むように馴染んでいるのだ。

ボンネット上のパワードームや前方にやや被せるようなシャークノーズデザインといった輪郭は標準仕様そのまま。だがアダプティブハイビームアシスト・プラスを備えたヘッドライトや横一文字のフロントグリルや、シンプルな発光部が特徴のテールランプなど、さりげなくも精悍な細部に引き立てられたエクステリアなのだ。サイズ感はもちろん、小回りの利くフットワークまで歴史ある街区と見事に調和する。

持続するラグジュアリーを提供する

佐原の歴史地区を後にし、利根川の河川敷から霞ヶ浦の南岸に突き出たエリアまでAクラスを走らせた。自然豊かな風景で、どこか海外のカントリーロードを彷彿とさせる道を進むと、Aクラスの闊達な走りは、さらにその伸びやかさを増していく。スポーティでありながら洗練された佇まい、そして心地よい動的性能は特筆に値する。

スタイリッシュだが乗る人を気負わせない日常性、そしてBSGによる滑らかな走りをも味方につけたAクラス。オーナーと過ごす長い時間軸の中で持続する本物のラグジュアリーを提供してくれるクルマであることを改めて実感した。

ABOUT CAR

The A-Class

日本の道路事情に適したコンパクトカーでありながら、スポーティネスとラグジュアリーをも兼ね備えたモデル。今回の「A 180(BSG搭載モデル)」のほか、ディーゼルの「A 200 d」や「Mercedes-AMG A 35 4MATIC(BSG搭載モデル)」「Mercedes-AMG A 45 S 4MATIC+」がラインナップされている。
The A-Class

※ 車両の仕様・装備は、撮影時点の仕様であり、日本仕様と異なる場合があります。