| セーフティ |
| 安全哲学 |
| 事故調査部 |
| 安全技術 |
| 統合的安全性 |
| 雨天走行 |
| 視線移動 |
| ブレーキ |
| ESP® |
| シャーシ |
| サスペンション |
| プレセーフ |
| ボディ |
| シートベルト |
| エアバッグ |
| 衝突実験 |
| コンパティビリティ |
| 品質チェック |
| エピローグ |
![]() |
| ページタイトルフォト:自動車の安全性向上への多大なる功績によって「ミスター・セーフティ」と呼ばれたベラ・ヴィクトル・カール・バレニー。1994年には、自動車業界で最高の栄誉である米国「自動車の殿堂」入りを果たしました。1997年、90歳で永眠。彼が発明した数々の安全技術は、これからも多くの自動車の中で生き続けることでしょう。 |
| メルセデス・ベンツの安全哲学を生んだのは、 常識に捕らわれない発想と、人間を気づかう心でした。 |
| エンジンよりも先に人間を。 |
| 自動車事故で美しいボディや自慢のエンジンが損傷してしまうことが、車のオーナーたちの大きな関心事だった時代に、車よりもまず乗員の安否を気づかう一人の技術者がいました。当時のダイムラー・ベンツ社に主任設計者として迎えられたベラ・バレニーです。 1939年、37才の彼は入社と同時に、世の中にまだ概念すらなかった「自動車の安全性」 の研究に着手しました。ドイツ・ジンデルフィンゲン工場の一角で、「エンジンよりも先に人間を」をモットーに数々の安全技術を発想していったのです。 ベラ・バレニーは述懐しています。「安全性はセールスポイントになりませんでした。オーナーになろうとする人々は、高価な自動車が壊れる話など聞きたくなかったのです」。しかし彼は、堅牢なだけのボディでは乗員や衝突した相手に大きな被害が及んでしまうと考えました。むしろボディがうまくつぶれて衝撃を吸収すれば、事故の被害を軽くすることができるのではないか。それは、常識に縛られていては思い浮かばないアイディアでした。 |
| 量産化された世界初の衝撃吸収構造ボディ。 |
|
1940年、ベラ・バレニー率いる開発チームは、「アクシデントセーファー」と名付けられた安全実験車を試作しました。この車には、前方からの衝撃をフロアに分散させるという発想や、側面衝突を考慮したフレーム構造などが早くも織り込まれていました。 また1947年には、衝撃を吸収する構造のセーフティステアリングシステムの実験が始まりました。乗員の安全を守るためには、ボディけでなく、ドライバーにもっとも近いステアリングコラムがつぶれて衝撃をやわらげる必要がある、という発想です。 いかに高価な自動車であろうと人命に勝るものではない。当然すぎるほど当然なこと、しかし具現化は必ずしも容易でないことを、ベラ・バレニーは革新的な発想によってひとつひとつ実現していったのです。会社に在籍した34年間に彼が取得した特許は2,500件にも及びます。 そして1953年、ついに世界初の衝撃吸収構造ボディを採用したメルセデス・ベンツ180を発表。ここから、自動車の安全性の歴史は新たな段階を迎えることになりました。 |
| そして確信した衝突実験の重要性。 |
|
安全性追求の新しい段階を迎えると、その開発手法にも新たな視点やアイディアが求められるようになりました。より現実に近い状況で実験を行い、より実際的な結果を得ることがこれまでにも増して重要になってきたからです。 スレッド(そり)型の実験装置につくり付けた運転席にエンジニアが乗って衝突させ、ドライバーに加わる衝撃をみずから体験・調査する実験。 インストゥルメントパネルやドアなどのトリムに振り子型の重りをぶつけて、 衝撃の加わり方や破損状態を調べる実験。原始的な方法ながら、こうした様々なアプローチによって、これまで見過ごされていた衝突時に起きる現象が少しずつ明らかになり、その対応策を見出す道が開かれ始めました。 こうした様々な経験から、メルセデス・ベンツは実際に自動車を衝突させる実験を行うことが、衝突時の正確なデータを得る極めて有効な方法であると確信しました。そして1959年、ジンデルフィンゲンの研究所で本格的な衝突実験が開始されたのです。 |